ソケット・アダプタ高寿命化の重要性
デバイス書込みにおいてデバイスとプログラマが信号通信を行うためにソケットは必須となります。ソケットはデバイスの信号ピン/ボールすべてに対して正しく接触し正しく(信号的にはインピーダンスの不整合による波形の乱れを信号伝送上問題の無いレベルまで抑えて)信号をプログラマ回路とデバイスの間で伝えなければなりません。また、ソケットはデバイスのピン/ボールを金属片で押えるためその接触部分にハンダが擦れて粉となり、酸化して金属片に固着することで接触部分が小さくなり点接触となります。また、この固着した金属塊が腐食し接触不良を引き起こします。このような状態になるまで、接触部の洗浄の適不適にも依存しますが、デバイス挿抜を数千回から数万回使用されます。
また、接触端の腐食を洗浄で延命した場合でも、ソケット内で接触部と下部ボードとの間で板バネ構造で接触圧を作っていますが、この板バネ部分の金属疲労が数万回後半で発生し、接触圧を保てなくなり、結果として接触不良となります。腐食かバネ不良のいづれかが発生した時点で寿命となります。一般的にピン付きデバイス用ソケットでは約1万回挿抜が寿命とされています。ボール付きデバイス用ソケットの場合には、約5千回挿抜が寿命とされています。
信頼性をあげ高寿命化するためには、接触部に立体成形した部材を使用し面接触するようにします。面接触にすることでハンダの削れ粉の発生がなくなり、酸化による固着および腐食を避けることができます。また、接触圧を作るためのバネとしては半導体テスタ等で使用されるポゴピンを使用します。これらの部材の変更により20-30万回挿抜程度まで寿命を伸ばすことが可能です。
Data I/O社では上記対応を行った専用のHIC(高寿命)ソケットを提供しており、一般的なソケットではデバイス挿抜1回に対して3-5円程度コストが生じますが、HICはコストパフォーマンスが高く1挿抜あたり1円未満のコストで済みます。
